音と音が交わる、音楽と音楽が行き交う、 音楽を愛する人と人とが交歓する、ここは、おんがく交差点。 珠玉の演奏と上質な音楽トークをお楽しみあれ。

おんがく交差点 第93回、ゲストは歌手・ 俳優の上條恒彦さんです。
「ご一緒して、そのお声の響くこと!歌はもちろん話し声も、収録のハクジュホールに響きわたりました。」と圧倒されていたのか、緊張からか、しょんぼり、大谷康子さんが借りてきた猫状態だったのが何時もと違った。苦手なのかなと思えたくらい。その分を春風亭小朝さんが、積極的でした。三匹の侍でテレビシリーズを経験されてたから、尋ねたいことがいろいろあったみたい。木枯し紋次郎のテレビバージョンの録音は、市川崑監督からの「下手に歌って欲しい。紋次郎が歌っているように歌って欲しい」と注文をつけられたというお話。今夜の放送では、朧朧と声楽的な紋次郎でした。
永六輔さん作詞、中村八大さん作曲のすばらしい曲でコラボ。「生きているということは、誰かに借りをつくること。生きていくということは、その借りを返していくこと。誰かに借りたら、誰かに返そう。誰かにそうしてもらったように、誰かにそうしてあげよう。」と永六輔さんの歌詞の説得が重いのですが、中村八大さんの曲の旋律線も際立っていたのは大谷康子のヴァイオリンが上條恒彦の歌声に良いオブリガートになっていたからでしょうか。徒に歪まされることなく、中村八大さんのメロディーに潜在しているパワーが開放されていました。永六輔さんと中村八大さんのコンビは、どちらか欠いても成立しなかったのではないかしら。
今回の「ヴァイオリンの小径」は上條恒彦さんが長く主役を歌われてきた「屋根の上のヴァイオリン弾き」から“サンライズ サンセット”です。何時もなら、大谷康子さんの演奏に強く印象付けられるのですが、放送が終わって数時間たってもヴァイオリンの音色が添え物だったように、上條恒彦さんの歌声の残響が耳に強く残っています。
下手に歌って大ヒット!歌手・上條恒彦誕生秘話 高校卒業後、俳優を志し上京したという上條さんだが、アルバイト先の歌声喫茶であるアドバイスをうけ、歌手修行を開始したという。果たしてそのアドバイスとは?
さらに市川崑監督作品「木枯し紋次郎」の主題歌「だれかが風の中で」のレコーディングでは、監督から「もっと下手に歌って」との指示が!一体どういうことなのか!?
ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」で、森繁久彌さんから主役を引き継いだ際のエピソードなども披露する。
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